経理・税金

輸入ビジネス(個人物販)の棚卸しについてまとめてみた

2018/01/13

Cardboard boxes on white

 

こんにちは。
としぞーです( '-' )g

 

この時期、確定申告などで
忙しい方も多いのではないでしょうか?
(去年は暗号通貨の件もありますし)

 

また、確定申告の際に物販プレイヤーの頭を
悩ますのが『棚卸し』ですね。

 

ちょうど良いタイミングなので棚卸しについてまとめます。

 

僕自身は法人なので年末は棚卸しの時期じゃないのですが、
この記事を書くにあたってちょっと情報を整理してみたら
大きな勘違いをしていた部分もありましたので、
しっかり伝わるように書きたいと思います。
(あくまでも専門家ではない人間の解説です。
本当に細かく知りたい人は専門家の意見を聞きましょう)

 

では、いきます。

 

 

 

棚卸しって何?

 

 

棚卸しとは平たくいうと『在庫管理』です。
ある一定の時期に、どのぐらいの在庫を抱えているのか?
それを把握するための作業となります。

 

そして、その在庫から
『売上に対応する商品原価を把握する』
ことが必要です。

 

これをやるのが年末の棚卸しですね。

 

 

重要なポイントとしては

 

・販売していない商品の原価は、費用として計上できない
・棚卸し時点での在庫の『仕入原価』で計算をする
(この仕入原価には『送料』も『付随費用』として含まれます)
・棚卸しの際に残っている在庫は『資産』(棚卸資産)として計上される

 

少し難しいですよね。
解説していこうと思います。

 

 

 

棚卸しのややこしい部分

 

 

例えば商品を100万円分仕入れたとします。
普通に考えるとこの時点で
『100万円の費用を払った』
ことになるわけですが、
実は税務上はそのような計算をしません。

 

仮に、1000円で100万円分、つまり1000個の
商品を購入しているとしましょう。

 

その内、年内に500個の商品が売れたとします。
在庫がまだ500個残っている状態ですね。
この場合、実際は売れた500個の仕入れ値は費用として計上しますが
残っている500個分の在庫の仕入れ値は費用計上ができません。
そうです。できないのです。

 

では、実際にどのような計算をするかというと、
(売値を1500円としましょう)

『売上ー(仕入ー在庫)』

で計算しますので、

『750,000ー(1,000,000ー500,000)』

で、250,000円となります。

 

つまり、一般的に考えると、

100万円使って、売上が75万円ある。
だから、利益はマイナス25万かな?

と思っちゃいそうなところですが、
実際は、

売上75万で仕入れ値が100万円。
そして、在庫(資産)が50万円分ある。
つまり25万円得している。

 

という考え方をするわけです。
上記の計算をもっとシンプルにすると、

 

売上75万に対しての原価が50万。
だから利益が25万。

 

と言い換えることもできます。
(つまり売れていない部分の原価は無視されている)

 

 

これ、投資などの含み益に対しても
同じ考え方をするのですが、
そう考えると、なるほど物販の在庫も
ある意味含み益みたいなものですよね。

 

普通に考えるとなんか納得のいかない計算方法ですが、
(それこそ、100万仕入れて1個も売れなくても
利益はプラマイ0ということになるわけですから!)
実際はこのような計算をしないと税務上の整合性が保たれないのです。
そう言うものだと理解するようにしましょう。

 

それを理解した上で。
実際棚卸しでは何をするかですが、
シンプルに表すと

『年末時にある在庫を全てカウントし、
その原価の合計を算出する。
そして、その額を資産として計上する』

作業だということですね。

 

色々と疑問が出てくると思いますが、
気になるものから解説していきます。

 

 

 

仕入原価には何が含まれるのか?

 

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例えば輸入ビジネスの場合、
仕入値に加えて『送料』『関税』『経費』
などが加わりますよね。

これらをどの範囲まで『仕入原価』と捉えれば良いのか?
非常にファジーな部分です。

 

これは実際色々な専門家に聞いてみても
各々微妙に回答が違うので認識次第と言ったところなのですが
僕の見解を述べておこうと思います。

 

 

まず、仕入れの際にかかる

『国内送料』『国際送料』『関税』

ですが、これらは仕入原価に『含めます』

 

また、納品にかかる諸経費(ダンボール代やAmazonへの郵送費)
に関しても仕入原価に『含めます』
(そういう意味ではインク代なども厳密には含めるべきなのですが
そこまでやっている人はいないでしょう)

 

上記項目は『含めて良い』という認識ではなくて
『含めなければいけない』です。

なぜかというと、含めるべき額を含めないということは
それすなわち在庫金額の過少申告、つまり脱税になるからです。
ただ、人によってどこまでやっているかは様々だと思います。
(ちゃんと聞き取りしたことはないです)
できるだけちゃんとやるようにしましょう。

 

 

また、逆に『含めなくて良い』費用もあります。

 

代表的なところでいうと

『Amazonの保管手数料』

です。

Amazonで商品を販売するために
倉庫に商品を置いておく必要がありますが、
その保管にかかる手数料は

『棚卸資産の通常の保管料、通常の保管のための保険料』

と位置付けられ、これは原価への計上を免れます。

 

 

また、例外として、

『販売のための付随費用が棚卸資産の取得価額の3%以内のとき』

は仕入原価に含めずに、経費で落とすことが可能です。
ここでいう『付随金額』とは、
先ほどの例でいうと

・国内送料
・国際送料
・関税

は除外された費用のことです。

 

つまりは、Amazonへの納品にかかる送料や諸経費。
これが棚卸資産の3%以内に収まる場合は、
経費として計上して良いよ。ということですね。

このルールがあるために、
納品のラベル代とかそれこそインク代、送料などは
棚卸原価に含めないで申告している人が多いと思います。

実際、3%に収まることがほとんどでしょうから、
僕もこれで良いと思っています。
(厳密には収まっているか確認が必要です)

 

このあたりが、結構認識が違う部分ですね。

 

 

 

棚卸しの計算方法

 

 

棚卸しをする最大の目的ですが、
損益計算書を作成する際に

『売上総利益』

というものを出す必要があります。

 

売上総利益は

売上高ー売上原価

で算出するのですが、
この『売上原価』を出すのに棚卸しが必要なわけです。

 

売上原価は以下の式で算出します。

期首棚卸高+当期仕入高ー期末棚卸高

 

ちなみに、申告1年目のみ、
期首棚卸高が0になるはずですから

当期仕入高ー期末棚卸高

の計算になります。

 

 

分かりづらいので例を出します。

 

 

2017年の1月1日に棚卸原価が200万あったとします。
2017年に合計で2000万の仕入れをしました。
そして、2017年末の棚卸原価が400万でした。

 

この場合

200+2000-400

で、1800万が『売上原価』にあたります。

 

2000万仕入れたけど、200万在庫が増えているから
実質売上に対応する原価は1800万だよね?
のような意味合いですね。

 

仮に、2017年に2000万の売り上げがあったとしましょう。
2000万使って2000万の売り上げがあるので、
お財布としてはトントンなのですが、
経理上は2000-1800で200万利益が出ていることになります。

 

決算月に、企業が急いで商品を処分する意味が
なんとなくわかると思います。

 

毎年決まった時期(個人なら年末)に棚卸をし、
期首と期末を照らし合わせて正確な仕入原価を
算出必要があるということですね。

理解できましたでしょうか?

 

 

 

輸入ビジネス(個人物販)ではどのような方法で棚卸しをするべきか?

 

 

では、棚卸しはどのようにすると良いのでしょうか?

 

 

個人でやっている規模で考えると、
やはり一番簡単なのはプライスターなどを利用し
その機能でリストを作ることでしょう。

 

プライスターの場合は、
商品登録時に仕入れ値を入力することができます。
そして、棚卸機能もついていますのでそれでCSVを出力し
その仕入れ値を合計すれば良いだけです。
これができると棚卸しが非常に楽です。

 

 

また、少しアナログな方法になりますが、
Amazonに商品登録をする際のSKUに、
仕入原価を入力しておく。
という方法も意外と使えます。

Amazonでも在庫レポートは取得できるのですが
問題は『原価が記載されていない』ことです。
レポートを取得して一個ずつ原価入力するのも良いですが
それではかなり時間を要します。

ですから、最初からSKUに原価を入力しておき、
それをリスト上で転記するだけの方が随分楽です。

 

 

ちなみに、商品ごとの仕入れ値って変動するじゃないですか?
為替も変わるし、売値も変わる。国際送料もその時々で
かなり変動しますよね?

年に数回仕入れるような商品ですと、
その度に微妙に仕入原価が変わりますよね。

じゃあそのどこを原価としてみれば良いのか?って話ですが
これは『直近の仕入れ』を参考にして良いです。

 

最終仕入原価法というやり方ですが、
これが棚卸しの基本的な計算方法です。

 

4月に100円、7月に90円、10月に110円
で仕入れた商品があったら、110円で申告するということです。
4月や7月分の在庫が残っていても全部110円です。

 

 

 

棚卸し前の在庫処分に意味はあるのか?

 

 

前述しましたが、
大手家電量販店や車屋さんなどでは
『決算セール』として、
必ず決算時期にセールをしていますよね。

 

色々な目的があるとは思いますが、
大きなミッションは『在庫の処分』です。

 

棚卸し前に在庫を処分するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

例えば、ある店舗があって、
以下のような状況だとしましょう。

期首在庫 1000万
当期仕入 3000万
現在庫  2000万
当期売上 5000万

このまま決算を迎えると
5000-1000+3000-2000
で、3000万の利益が出ることになります。
このまま利益が残ると法人税が30%ならば900万の税を払う必要があります。

 

では、決算セールをして、
在庫から1000万円分、売値でも1000万売れたとしましょう。

期首在庫 1000万
当期仕入 3000万
現在庫  1000万
当期売上 6000万

6000-1000+3000-1000

この場合も、3000万の利益が出たことになります。
法人税が30%ならば900万の税を払う必要があります。

 

前者は売上5000万で税が900万で手残り4100万
後者は売上6000万で税が900万で手残り5100万

 

無理やり販売をしてしまった方が、
手残りが良くなっているように見えますね。

 

しかし、実際は在庫が少なくなったため、
次の年の売れ行きに影響しますし、
期首在庫が少なくなりますので、
翌年の棚卸しがキツくなります。

 

そうなんですよね。

結構、節税のために棚卸しの際に
在庫処分をする、という方が多いのですが
実はそれってあまり意味がないのです。

 

 

ではなぜ企業は『決算セール』を行うのか?

 

これは、売上アップもそうなのですが、
一番の目的は『経理上の数字を良くするため』です。

 

在庫として資産が多い企業は一般的に
『良くない状態』と見なされます。

一方、現金として資金を持っていて、在庫が少ない企業の方は
『良い状態』と見なされるんですね。

投資家がどう反応するかが重要だったり、
銀行からの借り入れに頼っている企業の場合は
この経理上の数字を綺麗に見せる必要があります。

 

ですから、僕らレベルのビジネスモデルの場合
(銀行融資を考えている方は別)
あまり棚卸しに向けて在庫処分を行うメリットはありません。

 

場合によっては翌年の自分の首を絞めてしまう可能性もあります。
ここはぜひご理解ください^^

 

 

 

法人化の一つのメリット

 

 

長くなりました。
これで最後にします。

 

法人化のメリットの一つに
『決算月を自由に決められる』
というものがありますね。

実はこれがかなり大きなメリットです。

 

前述した通り、棚卸しをするとその額が一気に資産として計上されます。
つまり、

売上ー仕入値

がベースにあって、そこに最後に

売上ー仕入値+棚卸資産

が乗っかってくる。ということです。

 

ですから、ある程度期末在庫の量を把握していないと
予想以上に利益が出てしまった、とか
思ったよりも赤字になってしまった。
のような状況に陥ります。

 

できれば、一年の利益をある程度把握して
『利益が出ているからもう少し投資をしよう』
『利益が少ないからこの投資は来期に回そう』
などと戦略を練りたいわけですね。

 

しかし、棚卸しが年末にかぶってしまうと
(個人の場合は年末が原則です)
1年を通して一番予測のしにくい時期に、
棚卸し額を予想しないといけないことになります。

 

どうなるかわからない時期ですので、
利益がいくら余るとかも判断しづらいわけです。
そのため、投資すべきだったのに資金を余らせてしまった。
などのことが起こり得るんですよね。

 

物販の会社の決算が

2、3月

8、9月

に多いのはそういう理由です。

 

なるべく売れ行きがおとなしい月に決算を持っていき、
予測を立てながら投資ができる様にする。
そのために決算月を設定しているわけですね。
(実際、うちの会社も8月決算です)

 

ぜひ法人化の際の参考にしてください^^

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

棚卸しの際に疑問に思いそうなことを
まとめてみました。

 

冒頭に書いた通り、細かいことはググってください。
ただ、ここで書いたことぐらいは何と無くでも
把握しておくと良いと思います。

税理士さんにお願いなどをしている場合は、
棚卸し額さえ出せば、あとはやってくれるわけですが
実際に何をしているのか?ぐらいはわかっておいた方が良いですからね。

少しでも参考になれば嬉しいです!

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