輸入ビジネス小ネタ

並行輸入品の商標権侵害について考察してみた

2018/11/10


 

 

 

今回は『並行輸入品の商標権侵害』について
まとめてみたいと思います。

 

正直、判例が出ているわけではないので
はっきりしたことは言えないのですけれども
知識として知っておいて良い部分ですので
ぜひご覧ください^^

 

 

 

最近よく聞く例

 

 

最近、と言っても実際は1年以上前から耳にする例なのですが
特にここ数ヶ月よく聞く並行輸入品の商標権侵害のパターンって
大体一緒です。

 

その例とは

 

・ある商品をメーカーに交渉して直で仕入れる

・Amazonに出品する

・Amazonより、商標権の侵害で該当商品の出品を差し止めたと連絡

・「え?メーカーから仕入れているのになんで?」

・調べてみると国内に商標権者がいる

・メーカーに確認してみると認知はしていないらしい

・実際に調べたら確かに商標が取られている

・でもメーカーは認知していない・・・どうしたもんか

・事の顛末をAmazonに申告する

・Amazonは『当事者同士で話し合って』の一点張り

・申告元に話しても折れてくれない。
後は諦めて在庫廃棄するか、他販路で売るか。
もしくはメーカーに動いてもらってどうにかするか。
どうしましょう・・・

 

こんな感じですね。

 

Amazonの姿勢にもちょっと不満はありますが、
まぁそれはしょうがないですね。

このような案件って疑わしいものを罰していないと
本当にアウトだった場合にAmazonがダメージ受けますからね。
仕組み上、しょうがないのです。

 

でも。
こちらは正当にメーカーから仕入れているのに
出品ができなくなってしまうのは困りますね。

そもそも、この件って実際はどちらに正当性があるのでしょうか?
少し考察していきましょう。

 

 

 

並行輸入品は違法なのか?

 

 

まず、基本的なところからですね。
並行輸入品はそもそも違法なのか?

 

これは過去にも解説していますので、
ぜひご確認ください。

要約すると、並行輸入品の扱いに関しては
1970年に大阪地裁で下された判例が
今でも参考にされていると言うことです。

 

そして、その判例では
『並行輸入品は合法である』
とされています。

 

まずここは抑えておきましょう。
並行輸入品は合法である。

 

しかし、そうじゃないパターンが存在します。

 

 

 

内外権利者の同一性

 

 

先ほども書いた通り、パーカー事件の判例で
『並行輸入品は合法である』とされています。

もう少し細かく言うと、
『真正商品の並行輸入品』は合法であると。
(偽物とかがありますので)

 

で、その『真正商品の並行輸入品』ってのに該当するためには
以下の3つの条件に当てはまっていないといけません。

 

 

1、並行輸入商品に付された商標が、輸入元の外国における商標権者またはその商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること

2、輸入元の外国における商標権者と日本の商標権者とが同一人であるか、法律的もしくは経済的に同一人と同視し得るような関係にあることにより、並行輸入商品の商標が日本の登録商標と同一の出所を表示するものであること(つまり、商標の出所表示機能が害されていないこと)

3、並行輸入された商品と日本の商標権者が登録商標を付した商品とが、その登録商標の保証する品質において実質的差異がないと評価されること(つまり、商標の品質保証機能が害されていないこと)

経産省のHP参照

 

 

1は簡単ですね。
偽物じゃないこと、です。当たり前です。

 

3もわかりやすいです。
例えばアメリカのメーカー商品の質と、
日本で売られている同じ商品の質が違った場合。
同じ商品として販売されてしまうとどちらかが困りますよね。
それを取り締まっています。

 

実は今までに並行輸入品の商標権関係で
様々な裁判が行われていまして、
その結果このような条件が形成されています。

 

参考までに今までの裁判の一例を・・・

 

 

 

 

そして、問題は2です。

 

『内外権利者の同一性』と言うものになるのですが、
簡単に言うと、本国のメーカーが商標をその国で持っていて、
日本の商標は違う団体が保有している場合、
内外権利者の同一性に沿っていないということで
『真正商品の並行輸入品』とは認められない可能性がある。
のです。

 

実際に2に当てはめて出された判例で有名なものが
『コンバース事件』です。

 

実は今でもコンバースの並行輸入品を販売することはできません。

過去に本国コンバースが経営破綻をした際に、
日本では伊藤忠商事に商標を譲渡しました。

この時点で、内外権利者の同一性が崩れてしまっています。

 

細かいことは省きますが、
それが原因となりコンバースの並行輸入は認められなくなりました。
一度判例が出たので今までずっと、です。

 

そして、先ほど書いたAmazonでたまにある例に関しても
この判例に基づいて権利者が申し立てをしているのでは?
と予想することができます。

 

 

 

自分の所感

 

 

ここからは僕の所感です。
完全に独断と偏見ですのであらかじめご了承ください。

 

確かに本件に関しては内外権利者の同一性が認められないのですが
僕は違法性はないと思っています。

 

そもそも、コンバース事件では並行輸入品を販売していた業者の商品と
伊藤忠が販売していた商品は別のものです。
並行輸入品は本国で生産されたものだし、
国内品は伊藤忠が独自の生産ラインで生産していたものです。

つまり、内外権利者の同一性だけではなく、
先ほどの3にあたる、品質の部分でも争点があったのです。
そのため、伊藤忠の利益を損ねる可能性があるので、
そのような判例が下されたと。

 

しかし、今回のケースにおいては、
権利者と並行輸入販売者が扱っている商品が『完全に同じもの』です。
つまり純粋に内外権利者の同一性だけが争点になっていると。

 

その上、その商標は(多くの場合)本国メーカーに許可を得て
取得したものではない。

 

この点を加味して考えると、利益を損なう可能性がある、
または法的に守られるべきはむしろ並行輸入業者なのではと考えます。
パーカー事件判決を重く見るならばなおさらです。

 

もちろん、メーカーが国内でしか売らない。輸出はしないよ。
と言っているのに内緒で輸入して販売していた。
となると話は別ですが、
メーカーが日本で売ることを了承していて、
それを差し止められる道理はどこにもないと思います。

 

しかしながら、この件と全く一致するような判例は出ていません。
僕の考えとしては裁判で争ったらきっと勝つことができて、
その判例が出てくれれば、今後このようなことはなくなると思うのですが
なかなか裁判にはならないでしょうし、
そういう意味ではどこまで言っても『どうとでも解釈できる』
状況が続くのかなと。

 

つまり、グレーです。

 

 

 

まとめ

 

 

先ほども書いた通り、僕はこの件に関しては
販売者に違法性はないし、それで出品が差し止めされる意味がわからないと思っています。

が、現実は違います。

 

Amazonは申し立てがあれば出品を差し止めるし、
再開しようと思ったら申し立て者と直接話して申し立てを取り下げてもらうしかない。
申し立てを取り下げないと出品は二度とできない。
(申し立て取り下げに金銭を要求されることもあるみたいです)
もしそこに噛み付いて裁判を起こせば状況は変わるかもしれないけど
数十万のコストを払うなら諦めたほうが早い。
つまり、基本は泣き寝入りになってしまう。

というのが現状です。

 

もちろん、明らかに商標違反が見られる場合もありますから
全部が全部そうとは言いません。
が、そのようなケースがあるのは事実です。

 

これあれですよね。クラウドファンディングでお金集めて
数の力で裁判するのもありかもしれない。

 

ですから、はっきりとした判例が出るまでは
ここはずっとグレーで、グレーなだけに
申し立てをする側に若干の利があるのです。

理論武装して対抗する方法もなくはないですが、
コストを考えるとやっぱり引いたほうが良いですよね。

 

頻繁にあることじゃないので、
過度に怖がる必要はありません。
(これでアカウント止まったって話も聞いたことないです)

 

それに、こういうことはビジネスをしていれば
(規模が大きくなればなるほど)
起きえてもおかしくない争いです。

このようなことに出会っても、
揺るがないレベルの強いビジネスをする!
という意識で毎日頑張るのが健全ですね。

 

ただ、知識として覚えておいても良いかなってことで
まとめました。

ぜひ参考にしてください^^

 

 

追記

 

商標法にはこのような条文もあります。

 

次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、
商標登録を受けることができない。
(中略)
十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして
日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている
商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的
(不正の利益を得る目的、
他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)
をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

 

つまり、本国メーカーに許可なく商標をとること自体が
もはや商標権の違反に当たるかも・・・
ってことですね。

場合によってはこの辺りを盾に、
反論の余地はあるかもしれませんね。

 

 




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